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MASTERPIECESof Japan

漆。一滴から始まる日本の美。

Story 02 — 漆芸

漆。一滴から始まる日本の美。

Urushi: Beauty That Begins with a Single Drop

ウルシの木から採れる樹液は、塗料であり、接着剤でもある。その黒の上に金を蒔き、貝を嵌める。平安から江戸まで、三つの国宝で漆の時間をたどる。

漆とは、ウルシ科の落葉高木ウルシ(Toxicodendron vernicifluum)から採取される樹液であり、ウルシオールを主成分とする天然樹脂の塗料・接着剤である。漆で作られた工芸品を漆器といい、日本の漆器はその品質の高さから、中世以降、南蛮貿易を通じて世界各地へ輸出された。

片輪車螺鈿蒔絵手箱の写真
片輪車螺鈿蒔絵手箱(部分) — Tebako (Cosmetic box) Design of wheels-in-stream · 作者/撮影: Tokyo National Museum · Wikimedia Commons · CC BY 4.0

蒔く、嵌める

蒔絵は、漆で文様を描き、それが乾かないうちに金や銀の粉を「蒔いて」定着させる技法である。「蒔絵」という言葉は平安時代に初めて現れる。夜光貝や鮑などの貝片を器面に装着する螺鈿とともに、日本の漆器を代表する加飾となった。

平安時代の「片輪車螺鈿蒔絵手箱」は、流水と車輪の意匠を蒔絵と螺鈿で表す。江戸時代初期、本阿弥光悦の作と伝わる「舟橋蒔絵硯箱」は、金・銀に加えて鉛を用い、光悦蒔絵の代表作とされる。尾形光琳の「八橋蒔絵螺鈿硯箱」もまた、金銀と貝、鉛を組み合わせて燕子花と橋を描く。

異なる素材が、ひとつの黒のなかで出会う。

八橋蒔絵螺鈿硯箱の写真
八橋蒔絵螺鈿硯箱 — WritingBox EightBridges OgataKorin · 作者/撮影: HANSHIITI PHOTO Co.,Ltd. · Wikimedia Commons · パブリックドメイン

三つの箱は、いずれも国宝に指定され、東京国立博物館が所蔵している。一滴の樹液から始まる仕事が、数百年を経ても光を失わないこと――それ自体が、漆という素材のいちばんの物語なのかもしれない。

この記事に登場する作品

出典・参考資料

  1. [1]
    片輪車螺鈿蒔絵手箱

    文化庁 国指定文化財等データベース · 公的資料 · 根拠: 指定

  2. [2]
    舟橋蒔絵硯箱

    文化庁 国指定文化財等データベース · 公的資料 · 根拠: 指定

  3. [3]
    八橋蒔絵螺鈿硯箱

    文化庁 国指定文化財等データベース · 公的資料 · 根拠: 指定

  4. [4]
    Wikidata Q102389647(素材)

    Wikidata · データベース · 根拠: 素材

  5. [5]
    漆

    Wikipedia(日本語版) · 百科事典

  6. [6]
    蒔絵

    Wikipedia(日本語版) · 百科事典

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    螺鈿

    Wikipedia(日本語版) · 百科事典

  8. [8]
    Maki-e

    Wikipedia (English) · 百科事典

  9. [9]
    Japanese lacquerware

    Wikipedia (English) · 百科事典

  10. [10]
    舟橋蒔絵硯箱

    Wikipedia(日本語版) · 百科事典